すのっぶにござりまする。

服飾を通して文化を学びたい男のひとりごと

段返り3つボタンジャケットの源流を知る・ベントとポケットの違和感について

 初めましての方はお初にお目にかかります。中乃上 忠助(なかのうえ ちゅうすけ)と申します。そうでない方はいつも有難うございます。中乃上でございます。

 

 本日は「段返り3つボタンジャケットの源流を知る」「ベントとポケットの違和感について」源流を知るシリーズ3回目と独り言の2本立てです。

 

 

 段返り3つボタン

 

 いきなり曖昧な話で申し訳御座いませんが、このスタイルについては明確な情報が少ないです。ブルックスブラザーズが開発したこと、アイビーリーガーと密接な関わりがあることは間違いありません。

 そもそもクラシックなジャケットになるほどフロントボタンの数は多くなります。段返り誕生当時は上中2つ掛けの3つボタンが主流でした(4つ等、3つ以上のものもあっただろうが)。そしてアイビーリーガーたちの間では成金趣味への反発があり、「肥えた豚より痩せたソクラテス」がスローガンのようになっていたのです。そのため、一番上のボタンがかけられないほど発達した胸板を表現する為、段返り3つボタンが生まれました。

 単純にかけるボタンが減る簡略化されたジャケットにも関わらず、Vゾーンがみだりに広くならない為、主に英国で好まれます(シャツ(下着)を見せることを好まない為)。「どうせ一番上のボタンをかけないのなら」と2つボタンが生まれ、イタリアで好まれました(シャツを見せることに抵抗が無い為)。

 各国の傾向をまとめると

米国(アメトラ)→3つボタン上中2つかけ

米国(アイビー)→段返り3つボタン

伊国→2つボタン

英国→段返り3つボタン

といった具合でしょうか。しかし、現代に於いてはこれらの傾向も薄れ、2つボタン全盛となっています(クラシック回帰で段返りも追い上げてきている)。

 

 ベントとポケットの違和感

 私中乃上は以前、サイドベンツとスラントポケットという組み合わせに違和感がありました。「センターベント・スラントポケット=乗馬」、「サイドベンツ=剣を携える」という固定観念が強すぎた為です。しかし、英国カントリージャケットはサイドベンツとスラントポケットの組み合わせが多く、これについて考えるようになりました。スラントポケットは乗馬の為だけでなく、ポケットに入れた銃弾等の物が落ちないように、手を入れやすいようにと言う意味もあります。一問一答的な考え方が招いた違和感です。似たような経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。

 

 多面的に物事を見ること、答えは1つではないと意識すること、これらをしっかり意識すれば間違いを防ぐことができます。ふと思い出したので記事にしました。

 御付き合い頂き有難うございました。また次回、お会いしましょう。