すのっぶにござりまする。

服飾を通して文化を学びたい男のひとりごと

安倍晋三元首相の逝去に際して

 初めましての方はお初にお目にかかります。中乃上 忠助(なかのうえ ちゅうすけ)と申します。そうでない方はいつも有難うございます。中乃上でございます。

 

 久方振りの投稿となりました。

 安倍晋三元首相が選挙演説中に凶弾に倒れたという衝撃的な報道が飛び込んで参りました。謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

 総理大臣経験者としては戦後初めて暗殺されたとのことです。

 既に容疑者の身柄は確保されているとのことですが、参議院議員候補者、現職の議員、政治家の皆様は此度の一件に怯むことなく、活動を続けて頂きたいと切に願う所で御座います。

 

 私は自民党並びに安倍氏の熱烈な支持者というわけではありませんし、首相在任時には思うところが無かったと言えば嘘になります。しかし、安倍氏の最期は非常に素晴らしく、後世に語り継がれ称えられるべきものでしょう。

 安倍氏は演説中に2発の銃弾を浴びました。一発目の銃弾を浴びた後も演説を続けられたそうです。二発目の銃弾を浴びた際に倒れ、そのまま救急搬送されたそうですが、安倍氏の気概に唯々感服するばかりで御座います。板坂元先生の著書「紳士の美学」にはこうあります。「人の上に立ち、恵まれた地位にある者は、恵まれているからこそ、生命を賭けて責任を全うする。それが、ノブレス・オブリージというものだ。いつまでも地位にしがみついたり、いざという時に取り乱すのは醜くもあり、かつ下賤だ。」

 戦後の総理大臣の中で、最も長くその地位にいた安倍氏だからこそ、自分の立場や

人の上に立つ者の振る舞いをわかってらしたのでしょう。元首相、政治家、その肩書に恥じぬ実に美しい最期であられました。

 そして、昭恵夫人の立ち振る舞いも素晴らしいものでした。安倍氏が搬送された奈良県立医科大学附属病院に入られる際、背筋を伸ばし、取り乱すことなく、関係者に深く一礼してゆっくりと歩いて行かれました。長年連れ添った夫の緊急事態にも取り乱すことなく、冷静に品格を保つ振る舞いは実に立派で、ニル・アドミラリの信条に合致し、長年総理大臣を務めた男の妻に相応しいものでした。

ニル・アドミラリ:喜怒哀楽の情を抑え、表情に表さない処し方

 

 しかし、安倍夫妻の実に美しい所作に水を差すが如く、岸田総理大臣はじめ、政治家の方々の会見、コメントは品位に欠けたものでした。

 目に涙を浮かべたり、怒りを露わにしたりと、安倍夫人のような気品は感じられず、安倍氏の見事な最期をふいにするようで、残念でなりません。

 人の上に立つ者の矜持というものを今一度学んで頂きたいと思います。

 

 私は普段、服飾についてのお話を投稿致しております。しかし、ただの服好きにはなりたくありません。いくら立派な服を着ていても着ている本人が磨かれていなければ何の意味もありません。赤峰先生も、良い服を着て満足して威張り散らしているようではいけないとよく仰います。正しくその通りです。安倍氏昭恵夫人のような作法を弁えることが何より重要であることを再度申し上げたいと思います。装うということでは、表面しか変えることができません。作法と言うものは内面です。服を着る自分自身を磨き上げるということが肝要なのです。赤峰先生が仰るように、衣食住すべてに気を配り、自分を磨くことの大切さを安倍夫妻は我々に改めて教えて下さいました。

 

 選挙期間中にこのような事件が起きてしまいましたが、政治家とは時に自らの命も顧みずに大義の為に戦う素晴らしい存在であるということを再認識しました。政治の腐敗が叫ばれている昨今ですが、安倍氏の最期は正しく一服の清涼剤で御座います。

 政治家の皆様はどれだけ血が流されようと、どれだけの命が奪われようと、安倍氏のように大義の為に戦って頂きたい。又、我々のような一般の国民であっても、有事の際には血を流す覚悟をし、死すら恐れぬ日本国民の誇りを忘れてはならないと改めて感じました。

 

 最後になりますが、安倍氏の御冥福をお祈りすると共に、安倍氏の見事な最期、昭恵夫人の美しき振る舞いに敬慕の情を申し上げます。

 

 

 御付き合い頂き有難うございました。また次回、お会いしましょう。