すのっぶにござりまする。

服飾を通して文化を学びたい男のひとりごと

革小物・金物の色は揃えるべきか

 初めましての方はお初にお目にかかります。中乃上 忠助(なかのうえ ちゅうすけ)と申します。そうでない方はいつも有難うございます。中乃上でございます。

 

 源流を知るシリーズの第1回がようやく完結致しまして、本日は私の独り言でございます。完全に赤峰先生の「ユキちゃんのひとりごと」の模倣オマージュです。内容はかなり劣りますが、御付き合い頂けると幸いです。

 

 本日は表題の通り、「革小物・金物の色は揃えるべきか」というお話です。

 この記事を作成するきっかけとなったのは以前に見たこの動画です。

 


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 Atelier BERUNの竹内さん。豊富な知識と経験を持つ、私中乃上が憧れる方の一人です。

 この動画のタイトルを見た当時の私は「革小物の色は合わせるのが常識だろう」と浅ましくもそう思っていましたが、動画を見て自分の思慮の浅さを恨みました。

 動画を御覧頂くのが一番良いですが、さわりだけお伝えします。

 「色を合わせるのは正解だが、そこまで厳密にする必要はない」とのこと。黒・ダークブラウン・ブラウン・ライトブラウン・ベージュ・白と色を段階で分けたときに、1段階の違いであれば合わせても問題ない。そういった視点の話を聞いたとき、自分の視野がいかに狭いかを痛感しました。フォーマル・タウン・ビジネスに於いては革小物の色は合わせるべきでしょう。しかし普段着としてのスーツやカントリースタイルの肩肘張らない愉しさを頭に入れていなかった私はなんて馬鹿なんだろうと思いました。

 詳しくは動画を御覧頂くとして、ここからは私の考えです。

 竹内さんは「自分も革小物の色を合わせるのが常識と思っていたが、欧州の人々が革小物の色を合わせずに服を着こなしている様が非常にかっこよく、革小物の色を合わせるルールに縛られなくていいと思った」と仰っていました。あくまで全体的なスタイルが美しければ細かいルールを気にしすぎる必要はないということです。赤峰先生が常々仰っている「木を見て森を見ず」という状況に陥るなということにもつながりますね。

 「色を段階で分けたときに1段階の違いであれば合わせても問題ない」というのは、全体的なスタイルを見たときに、違和感なく合わせるための指標であり、美しいスタイルを作り上げることができるなら、何を合わせても良いのです(少し極端な言い方だが)。2段階以上異なる色を合わせるのは難しいということは想像に難くありません。

 勿論色を合わせるのが最も無難で統一感も出ることは変わりありません。しかし竹内さんも動画内で仰っていましたが、シーンによって「一生懸命さ」が出てしまう可能性もあります。例えばグレーのトラウザーズを履き、サックスブルーのシャツのボタンを開け、袖をまくってホワイトバックスシューズを履く。こういった気の抜けた(粋な)スタイルでベルトも靴に合わせて白にしては「頑張りましたね(気の抜けたスタイルを演出するのに必死になっているな)」という目を向けられるやも知れません。ホワイトバックスは赤峰先生も「革のスニーカーのようなもの」と仰るように気軽なものですから、ルールも何もないですが、私はこの場合、ライトブラウンのベルトを合わせると思います。黒靴にライトブラウンのベルトは合いにくいでしょうし、黒靴であれば黒ベルトが無難でしょう。ただ、白という色は許容範囲が広めだと思います。白とベージュ、白とライトブラウン、白と(明るめであれば)ブラウンも合いやすいでしょう。

又、白と黒は両極にある色です。色が違いすぎるため、逆に合いやすいのではないかと思います。フォーマルに於いて、白いブレイシスに白い革が使われるとはいえ、靴は黒のままです(これは例外に近いものだろうが)。

 まとまりがなくなってきましたが、結論を申し上げますと、厳格なルールが求められる場であればしっかりと守る。普段着や、装いを愉しむ幅を持たせて良い場であれば知識や理論一辺倒にならず自分の感覚を大切にする姿勢を持つこと。守るべき所は守り、愉しむ所は思い切り愉しむ。このメリハリが大切なのだと思います。

 カフリンクスやネクタイピン等の金物は、色が違うと浮いてしまいがちですので、合わせるのが無難でしょう。フォーマルシーンでは例外なく合わせるべきです。余程の自信がある方なら挑戦しても良いかもしれません(中乃上は挑戦することはないであろうが)。

 ともかく、大切なのは自分の知識や理論を振り返り、凝り固まった考えや狭くなった視野を顧みること。又、厳格なルールを守り、品格や権威を示すフォーマルも、日頃の気を抜いたスタイルを愉しむカントリーもすべて含めて「装う」ということだと理解する大切さを知ることが、より深い学びに繋がるのではないでしょうか。

 

 まとまりのない本当にただの「独り言」でしたが、御付き合い頂き有難うございました。それではまた次回、お会いしましょう。